コレクション総数は何と3万点!!唯一無二のプラモの製作に挑む『飛行機プラモデル』(前編)「おとなの秘密基地」
車やプラモデル、カメラなど、趣味の世界を楽しむ大人たちに密着してその魅力を調査する『極上ライフ おとなの秘密基地』。2016年~2018年までテレビ愛知で放送され、現在はLocipoでアーカイブを見ることができる。根強い人気を受け、新たに配信用オリジナル企画の制作も進められている。
今回の秘密基地の主は、『飛行機プラモデル』に見せられた趣味歴50年以上のプラモデラー。1万5000点ものコレクションが集う秘密基地でベテランのプラモデラーが挑む唯一無二のプラモデル製作に密着する。
■1万5000点ものコレクションに囲まれた秘密基地。しかしこれでもまだ半分……!?
7万人もの模型ファンが集う年に一度のビッグイベント『静岡ホビーショー』に現れたのは今回の秘密基地の主・中村喜久男さん。飛行機プラモデル歴50年以上、マニアの間ではちょっとした有名人だ。
中村さんの秘密基地があるのは岐阜県航空機産業の街として知られる岐阜県各務原市。案内されて向かった先にあったのは驚くほどの大きさの建物!建物全てが中村さんの秘密基地だ。5年前に現役を退いた中村さんは、以前に住居兼仕事場として使っていた場所を趣味全開のスペースとして活用。この秘密基地で悠々自適の毎日を過ごしているそうだ。中に入って最初に目に飛び込んできたのは壁一面埋め尽くされた飛行機プラモデルの箱。
この部屋にあるだけで「だいたい1000個ぐらい」と話す中村さん。まるで模型店に来たかのようだ。その中ににはこんな珍しいプラモデルも。
中村さんがまだ小学生だった初期の頃に発売されていたという袋入りのプラモデル。昔はこのような袋入りでプラモデルが販売されていたそうだ。2階に上ると、ここにもすごい数のコレクション。
「頭の中はずっとその小学校5年生の頭なんですよ」と話す中村さん。新しいプラモデルを見るとついつい買って手に入れたくなるそうで、気づけば大量のコレクションになっていたという。2階のコレクションはおよそ9000個。さらに3階にもコレクションがあり、全て合わせると飛行機プラモデルを中心として約15000個ものプラモデルが集められている。しかし、中村さんのコレクションはこれに留まらない。
何とここにあるのはコレクションの半分。この他に15000個ぐらいが別の所にストックしてあるとのこと。合計3万個のコレクションに「4~5回生まれ変わっても作りきれない」と中村さんは笑う。とはいえそこは根っからのプラモデラーである中村さん。「もちろん生きている限りプラモデルを作り続けます」と力強く話していた。
秘密基地で作られるのは細部まで緻密にこだわった『唯一無二の飛行機プラモデル』
そんな中村さんのこだわりは「飛行機の美しさを細部まで表現する」、そして「人にインパクトを与え、人と同じものは作らない」ということ。これまでに500機以上製作してきた飛行機プラモデルにも中村さんのこだわりが随所に光る。
例えば、こちらは中村さんが好きだという『艦載機(航空母艦に積まれている飛行機)』のプラモデル。思いがけずたくさんの空気が入ってしまったものの、慎重な作業で無事に抜くことができた。波板がしっかりと浮き出ている。
元々の翼を折りたたむことが出来ないキットだったところを、中村さんは自分で切って翼が折れるように加工。翼を折りたたんだところにも細かな細工を施し、本物さながらの艦載機プラモデルに仕立て上げた。
「マニアの人はこういう所を見ますから。いいんですねって言ってくれるとやったなと思って」と嬉しそうに話す中村さん。キットをただ組み立てるのではなく、折り畳まれた翼から見える細かい部品まで再現し世界でたった一つの作品に仕上げるの中村さんのやり方に、マニアの仲間たちが注目するのだ。
こちらはソビエト連邦が開発した戦闘機『MiG15』。このエンジン部分も中村さんがオリジナルで作ったものだそうだ。
「実物を見ないとわからないってことあるんですよ」と話す中村さん。リアルに作るため、なんとこのエンジン部分を再現するために、中国まで本物の機体を見に行ったそうだ。熱意もさることながら、その行動力には脱帽するしかない。また、こちらの輸送機アブロヨークはおよそ一年をかけ製作した中村さん渾身の作品。
長く時間がかかったその理由は「既製品にはないプラモデル」のため。翼などの一部分は他のプラモデルから流用しているものの、胴体は全部自分で作ったとのことだ。「昔から好きだったんですけどなかなかキットが出てこないもんで、これならもう自分で作ろうと思って」と話す。中村さんが仕事を辞めてからすぐにとりかかった輸送機アブロヨークのプラモデル。マニア仲間から「これどうしたの?」と聞かれたときに「いや作ったんだよ」と答える、そうした仲間たちとのやりとりが何にも代えがたいそうだ。そんな中村さんが現在取りかかっているのが三式戦闘機『飛燕』のプラモデル。地元各務原で第二次世界大戦中に作られていた国産戦闘機だ。
もちろん中村さんが作るのは普通の『飛燕』ではない。中村さんが作るのは、戦争末期にわずか90機ほどしか作られなかった『飛燕II型』。幻の戦闘機ともよばれる『飛燕II型』だが、プラモデルとしては1/48スケールと1/72スケールしか販売されていない。今回挑戦するのは『飛燕II型』の 1/32スケールモデル。同スケールの飛燕I型をベースとしてII型を作っていく。これまでにメーカーも作ったことがないという『飛燕II型』のプラモデル。「ないものを作る」ことにこだわる中村さんの挑戦が、今、始まった細部にまで緻密にこだわる中村さんの『飛燕II型』作りの様子は後半にて。
『極上ライフ おとなの秘密基地』
【放送局】テレビ愛知 2016〜2018年放送(現在はLocipoでアーカイブを視聴可能)
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/himitsukichi/
【You Tube】https://youtu.be/92nkbRmFmqg