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コーヒーは人生の支え。自家製焙煎機で友と楽しむ「コーヒーライフ」前編

車やプラモデル、カメラなど、趣味の世界を楽しむ大人たちに密着してその魅力を調査する『極上ライフ おとなの秘密基地』。2016年~2018年までテレビ愛知で放送され、現在はLocipoでアーカイブを見ることができる。

今回の秘密基地の主は、「その味は焙煎で変わる」と自ら焙煎機を作ってしまった、愛知県の男性。友と楽しむコーヒーライフに密着する。


愛知県瀬戸市にある秘密基地。辺りに漂う、香ばしいコーヒーを淹れているのは、鉄工所に勤める三宅巧さん。ブラジルとグアテマラをブレンドし、深煎りした豆で苦みを持たせた味は、飲み終えた後の心地よい余韻がお気に入りだ。

レコードを聴き終えるまで、ゆっくりコーヒーを味わうのが至福の時。「好きな音楽を聴きながらものすごく飲む。下手すると、10杯くらい飲んでいる時もあると思う。オリジナリティーがコーヒーにはあって、一番惹かれた部分。次はこうやって焙煎してみようかな、ああやって焙煎してみようかなって楽しめる」と三宅さんのコーヒー好きがうかがえる。


実は、コーヒーには味を大きく決める3つの要素がある。一つ目は「焙煎」で、生の豆を煎ることで水分を飛ばし、味と香りを引き出す作業。同じ豆でも浅く煎れば酸味が強く、深く煎れば苦味が増す。


続いて、「挽き方」。苦味を楽しむには細挽き、酸味系のコーヒーには粗挽きがおすすめ。


そして、「抽出法」でも味は変わる。紙を使うペーパードリップやさわやかな風味が楽しめるサイフォン、豆の油まで余すところなく楽しめるフレンチプレスがある。


三宅さんの秘密基地である車庫には、最高のコーヒーを楽しむためのとっておきのものがあるという。それは、コーヒー豆を煎る手回し焙煎機。自分で作ってしまったのだ。どんな仕組みになっているのだろうか。

「温度調節のために、中に直接火が入るように網と輻射熱で温める部分が交互にくるように作った。肝心の豆を入れるところは、園芸用の砂のふるいを使っている」と三宅さんは手作り焙煎機を解説。

筒の左右には園芸用のふるい、そして先端にじょうごと、市販されているものばかり。さらに取っ手部分は、首がくるくる回るキャスターがつけられている。


この日は、中学時代からの友人である柘植(つげ)義宏さんも一緒に焙煎をする。2人は"たっくん"・"グッチ"と呼び合う仲。実は、焙煎の楽しさを三宅さんに教えたのは柘植さんだった。

「4年前に、ゲッツがコーヒーの豆の話や焙煎機によってコーヒーの味が違うということを教えてくれた。何でも自分でやってみたいたちだもんだから、焙煎機を変えることでオリジナルの味が出せるんだったら作ってみたいなと思って」と三宅さん。

柘植さんは「たっくんだったら僕の好きなコーヒー豆を焙煎をしてくれるかなと思って声をかけた」のだそう。お互い仕事が忙しく、10年以上疎遠になっていた時期もあったが、コーヒーがきっかけで、再び距離を縮めた2人。


この日の豆はマンデリン。豆本来が持つ、どっしりとした苦味を生かすため、深煎りにするつもりだ。

プロパンガスを使い、火加減と回転速度を調整しながら焙煎機の中を10分ほどかけ、180度ぐらいまで温度を上げていく。


「いい香りしてきたね」「180度目標で、『1ハゼ』の手前だね」と2人は話す。

『ハゼ』とはハゼル(爆ぜる)の意味。焙煎ではよく使われる言葉で、温度上昇に伴い、豆の皮がパチパチとはじける現象を言う。焙煎する過程で2度起こり、1度目のハゼで焙煎を止めると浅煎りとなり、酸味が強くなる。そして2度目のハゼで焙煎を止めると、深煎りとなり、苦味やコクが楽しめる。

そのため、パチパチと鳴るハゼの音を聞き逃すわけにはいかない。そこで、三宅さんは集音マイクとラジオを設置したのだが、失敗作らしい。回るガラガラがうるさくてあまり使いものにならず、直接聞き取った方が良いのだとか。

さらに、煙突部分にファンをセット。筒の中に煙がこもっていると、味に影響が出てしまうため作業をしながらでも回せるよう、フットペダルを取り付けた。


そしてガスを止め、ここからはスピード勝負。一気に豆を冷まさないと、味にえぐみが出るのだそう。下から風を当て、熱が引いたら完了。いつも豆の試食は、柘植さんの担当だ。

いよいよコーヒータイム。たっくんの挽いた豆をゲッツが淹れる、それが2人のやり方。

柘植さんは、この日のために岐阜県恵那市にある『福寿の清水』という、花崗岩の地質から出る天然水を用意した。豆の味がしっかり抽出できる、硬度が9.7の超軟水。美味しいコーヒーを飲むために、水にもこだわる。

「抽出層を壊さずに、丁寧に丁寧に」と三宅さん。芳醇な豆の香りが漂ってくる。「雑味もない、表情が豊かね。ほんと美味しい」と2人は自然と笑顔になる。昔は苦かったコーヒーが、2人の仲を蘇らせた。

「自分に合ったコーヒーが飲めるって言うのが、今の一番の楽しみ。コーヒーは、自分にとって支えになっている」と、三宅さんにとってコーヒーは欠かせない存在となっている。
後半はこちら

『極上ライフ おとなの秘密基地』

【放送局】テレビ愛知 2016〜2018年放送(現在はLocipoでアーカイブを視聴可能)
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/himitsukichi/
【You Tube】https://www.youtube.com/watch?v=R_E2LW89tZg

極上ライフ おとなの秘密基地

趣味を通して人生の喜びを追求する、大人のための「知的好奇心」探求番組。

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