半田市は「池の水を全部抜く」行事がある 年に1度の「かいどり大作戦」 テレビ番組よりも歴史深く
半田市・有脇地区で年に1度のビッグイベントとして行われているのが「池の水を全部抜く」行事。街の人によると、テレビ番組で話題となるはるか前から「かいどり」と呼ばれる池の水を全部抜くイベントが行われているといいます。
シーズンになると、いたる所にポスターが貼られるほど街の人たちが楽しみにしている半田市・有脇地区の「かいどり」。今回は、その一部始終に密着取材を行いました。
池の水を全部抜く「かいどり大作戦」
昔から農業が盛んだった半田市では街の至るところにため池があり、水を抜いてメンテナンスする「かいどり(かいぼり)」が毎年行われてきました。現在でも、池の生態調査や清掃のために地元有脇小学校の児童たちと地域の人たちが一緒になって、「かいどり大作戦」が行われています。
そんな「かいどり大作戦」経験者の1人が、中日ドラゴンズで活躍する石川昂弥選手です。実は石川選手は有脇小学校の出身で、小学生時代にかいどり大作戦へ参加。「泥水みたいなところに入ってわいわいやるのは楽しかった」と当時の思い出を話してくれました。
水を抜いた池で子どもたちが泥まみれ!?
今回の「かいどり大作戦」では杁廻間池の水を全部抜いて清掃などを実施。作戦決行の3日前には池の栓を開いて水を抜き始めます。ちなみに、抜いた水は稲の収穫を終えた田んぼへと流されるとのことです。
栓を開いて3日後には池の水はほぼ全部抜けた状態に。残ったわずかな水にコイなどの魚がいっぱいです。
これらの魚を捕まえるのは「かいどり大作戦」の主役である有脇小学校の児童たち。さらに地元住民や大学生、消防団などの大人たちもかけつけ、バックアップ体制は万全です。
3~6年生の児童たちはどろんこまみれになりながら次々と魚をゲット! まだ池に入れない1・2年生たちは池の外から声援を送ります。
児童たちの頑張りで、この日は大きなフナはもちろん、ヌマチチブやヌマエビ、モツゴなどさまざまな水生生物を捕獲。水槽に引き揚げられた水生生物の種類や数をチェックします。
この生態調査とともに行われるのが、1~2年生の児童たちに向けた特別授業です。上級生たちが捕まえた水生生物を“生の教材”にして、目の前で行われる体験型の授業に、児童たちも目を輝かせていました。
一生の思い出になる「かいどり大作戦」
前半戦で生きものを全部捕まえたら、後半戦は泥遊びの時間です。勢い良くはしゃぐ児童たちの手によって、先生も泥の中にどぼん! そして6年生たちの卒業写真の記念撮影も行います。一生の思い出になる貴重な体験、それが有脇の「かいどり大作戦」です。
最後に捕まえた水生生物たちを再び池へ戻し、2024年の「かいどり大作戦」も無事終了。生態調査の結果、約14000匹捕まえた水生生物の中にいた外来種はわずか10匹でした。着実に成果が出ています!